今週29年7月10日から7月15日にかけてのリート市場の相場を振り返っていきたいと思います。
今週のJリート(reit)
東証リート指数の週末終値は1620.38となりました。前週末終値が1662.32でしたから、40ポイント程度の大幅下落となりました。週ベースでは、6月16日の1739.42から4週続落となっており、特に直近3週で30ポイント以上の下落が続いています。
今週の最安値は、週末場中の1620.24、最高値は、週初場中の1666.72でした。欧州国債安や戻しつつあるもののいまだ不安を抱える米国債などの影響を受け、弱いリート相場が続いていますが、木曜日13日には、いったん国債利回りが低下しましたことから、1644.56まで反発しました。ですが、翌日再び国債が売られ、リート相場も反落となりました。
今週の主なニュース 今週は、以下のとおり、日米不動産関連の指標がでています。 7月13日(木)三鬼商事オフィスマーケット統計
7月13日(木)6月の都心オフィス空室率、3.26%に低下 9年2カ月ぶり低水準(日本経済新聞) http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL13HBY_T10C17A7000000/
オフィス仲介の三鬼商事(東京・中央)が13日発表した6月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は前月比0.15ポイント低下の3.26%だった。2カ月ぶりに低下し、2008年4月(3.03%)以来9年2カ月ぶりの低水準だった。(中略) オフィス平均賃料は3.3平方メートルあたり1万8864円と前月比0.34%(63円)上昇した。上昇は42カ月連続で、2010年1月(1万8904円)以来7年5カ月ぶりの高水準だった。(290716 日本経済新聞)
長期金利 〔マーケットアイ〕国債先物は横ばい、長期金利0.080%に小幅上昇(ロイター) https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1JY00M
現物債は午前の取引で金利に上昇圧力がかかるゾーンが目立ったが、先物が切り返すと長いゾーンを中心に押し目買いが入った。金利上昇は限定的で底堅さをみせた。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp上昇の0.080%。(290714 ロイター)
次に、Jリートと10年国債との利回り差の推移です。左から先々週末終値、先週末終値、今週末終値です。 東証リート指数が大幅な続落となり、予想平均利回りが上昇しましたので、両者のスプレッドは引き続き拡大しています。
2017年7月14日時点 リート予想分配金利回り 4.00%→4.09%→4.20% 国債10年物最長期利回り 0.085%→0.085%→0.080% スプレッド 3.815%→4.005%→4.120% 米国債10年 2.304%→2.39%→2.33% ※リート予想分配金利回りは、japan-reitより 指数の推移 以下は、先週末から今週末にかけての種別ごとの指数の推移です。左から先々週末終値、先週末終値、今週末終値です。
オフィス 1656.97(△2.1%)→1631.51(△1.5%)→1599.76(△1.9%) 商業物流 2143.27(△1.6%)→2101.14(△1.9%)→2046.63(△2.6%) 住宅 2446.49(△0.8%)→2377.56(△2.8%)→2278.22(△4.1%) 全体 1694.36(△1.7%)→1662.32(△1.8%)→1620.38(△2.5%) 不動産株 1432.79(0.4%)→1392.19(△2.7%)→1407.62(0.1%) 日経平均 20033.43(△0.4%)→19929.09(△0.5%)→20118.86(0.9%)
東証リート指数は、先週に引き続き大幅下落となりました。一方で、日経平均と不動産株は上昇しています。
種別指数では、住宅系リートが先週に引き続いて全体指数の下落幅を超える大幅下落となっています。4%以上下落するというのは、久しぶりの下落幅かと思います。ですが、住宅系リートの場合、これでもまだ昨年28年1月の水準です。
実は、オフィス系リートは、すでに27年9月以来の安値となっており、商業物流系リートの指数についても同様です。
11日 平成29年10月期(第7期)の1口当たり分配金の予想の修正に関するお知らせ(インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人) http://www.invesco-reit.co.jp/file/news-4d0452606943ca560aaaede8cd4d83575e00d88c.pdf
11日 国内不動産信託受益権の取得に関するお知らせ(リソラ大府ショッピングテラス)(ケネディクス商業リート投資法人) http://www.krr-reit.com/file/news-660988c5b53832d65d6efbb6e3b39cb4db828156.pdf
11日 投資法人債の発行に関するお知らせ(コンフォリア・レジデンシャル投資法人) http://www.comforia-reit.co.jp/site/file/tmp-KNV5s.pdf
12日 資産の譲渡に関するお知らせ(GLP投資法人) http://www.glpjreit.com/site/file/tmp-erHaG.pdf
13日 国内不動産の追加取得に関するお知らせ(星野リゾート・リート投資法人) http://www.japan-reit.com/kaiji/3287/2017/20170713431168.pdf
14日 投資法人債の発行に関するお知らせ(福岡リート投資法人) http://www.fukuoka-reit.jp/reit_apps/upload/releasepdfs/20170714113807.pdf
今週の決算発表
12日(水)アクティビア・プロパティーズ投資法人(3279)第11期決算発表 https://www.activia-reit.co.jp/site/file/tmp-4Babm.pdf 14日(金)ユナイテッド・アーバン投資法人(8960)第27期決算発表 http://www.united-reit.co.jp/file/news-8d81badef326cc784ab0d8906f27e823bf8cc589.pdf 阪急リート投資法人(8977)第24期決算発表 http://www.hankyu-reit.jp/cms/whats/20170714_154703fgxW.pdf
来週のリートに関する主なスケジュールは、19日(水)に米6月住宅着工件数、日銀金融政策決定会合、欧州中央銀行(ECB)の定例理事会が予定されています。
今週は、東証リート指数が年初来安値をさらに更新し、終値ベースでは、28年1月に付けたの安値をわずかに下回り、27年9月以来の安値となりました。
REIT下落続く東証指数1年10カ月ぶり安値 投信の購入減(日本経済新聞) http://www.nikkei.com/article/DGKKZO18900660U7A710C1EN2000/
不動産投資信託(REIT)の値下がりが続いている。総合的な値動きを示す東証REIT指数は、14日の東京市場で前日比24.18ポイント(1.47%)安い1620.38となった。2015年9月中旬以来、1年10カ月ぶりの安値だ。REITの主要な買い手だった毎月分配型の投資信託からの資金流入が、金融庁の批判を受けて細っているためだ。(29.07.15 日本経済新聞)
上記記事では、今回の下落を金融庁の批判により投資信託がリートを買わなくなったためとしていますが、世界市場に目を広げてみますと、欧州国債安、米国債不安によるリートの軟調相場があります。リート市場が不安定であるのは世界的な流れであり、日本だけの現象ではありません。
よって、投資信託の動向を見るよりも、米国の国債利回りの動向を見ている方が肝要かと考えています。
それでは、リート投資家の皆さま、今週もおつかれさまでした。